シンガポールの国際色豊かな環境のエステサロンで働く

一見優秀に見えるマネージャーの差別発言がすごかった
著者の働いていたエステサロンでは、中国人、マレーシア人、韓国人、タイ人、フィリピン人、インドネシア人、そして日本人は著者1人という、国名を列挙するだけで一苦労というくらい、スタッフもお客さんも国際色豊かな環境でした。
メディアでも度々紹介されている、そこそこ名の知れたサロンでした。
この国際色豊かなスタッフと沢山のお客さんを抱える超人気サロンをとり仕切るマネージャーは、きっと優れた人間性で視野の広い優秀なマネージメント能力を発揮する、卓越した人材なのだろう…という印象を持たれがちでした。
ところがこのシンガポール人のマネージャー、ビックリするほどイメージとは真逆なのです。
「インド人のお客は臭いから、部屋に入れる前にシャワー浴びさせてね!それと性的なサービスを要求してくるから、誓約書にサインさせて!」
「フィリピン人スタッフは数字が読めないから、デジタル時計は置いちゃダメ!」
「あ~もう、これだから韓国人は!キムチばっかり食べてるから頭がバカになるのよ!」
こんな発言は日常茶飯事です。
たまたまデジタル時計が読めないフィリピン人が数人いた=フィリピン人はデジタル時計が読めない!という思考回路のようです。
それでもまあ、みんなで持ちよりパーティーをやれば各国の料理が勢ぞろいするし、色んな国の言葉をちょっとずつ教えてもらって、何か国語も話せる天才になったような気になったり、とても面白い環境ではありました。
生まれた国や宗教、文化がみんな違うので、その「違い」に苦労するよりも、「違いすぎて楽だわ~」と、私はそんな感覚で気楽に働いておりました。
始めから違いがありすぎると、もう諦めるしかないんですね。
元々は、移民政策で国力をガンガンに伸ばしてきたシンガポールですが、外国人の増えすぎで国民の不満が爆発し、たまに「あんた日本で仕事した方が稼げるんじゃないの?なんでわざわざシンガポールにきて国民の仕事奪ってんのよ」風なことを言われることもあります。
もし日本の労働人口の半分くらいが外国人で埋め尽くされて、仕事が奪われたら同じこと思うかもしれないな…と、妙に納得してしまった記憶があります。
そんなわけで、プチ人種差別発言は日常のいたるところで耳に入って来ますが、人種間や宗教間で大きな分断や闘争もなく、シンガポールでは今日もそこそこみんな仲良く平和に過ごしているのです。