ロシアのビザの取り方について
ロシアに旅行したい!留学したい!と思う方へ、まず最初の手続きで大変なのは『ビザ』です。日本人がロシアへ行くには、たとえ短い期間であってもビザが必要です。この記事では、旅行者向けの観光ビザと留学生向けの学生ビザについてご紹介致します。
サクッと手軽に電子ビザ
2023年8月1日より、ロシア全域が対象となる外国人への統一電子ビザ(E-VISA)発給システムが運用開始されました。55カ国の国民が対象となっており、日本人もオンラインで電子ビザを受け取り、ロシアへ入国することができます。
統一電子ビザは、観光や所用のため、または科学・文化・社会政治・経済・スポーツ等のイベントに参加するために、ロシアを訪問する権利を与えるものです。このシステムの開始により、外国市民はビザの手続きをデジタル化された最も便利な方法で行うことができるようになり、ロシアのビザ制度の自由化に向けた重大な一歩です。
電子ビザを取るには、ロシア外務省の専用ウェブサイトまたはアプリで申請フォームに必要事項を記入します。入国予定日の4日前まで申請することができます。添付するのは、本人の顔写真と機械読み込み式パスポートのスキャンのみで、何か他の書類を集める必要はありません。よって、宿泊施設の予約確認書、その他渡航目的等を証明する書類は一切必要ありません。申請が承認されたら、電子ビザ申請処理に関する通知がEメールで申請者に送られてきますので、電子ビザを印刷するかモバイル端末に保存してください。飛行機の搭乗手続き、電車・バスなどの乗車手続きの際、また国境検問所での出入国の際に必要となります。
■申請フォーム記入の流れ
- 注意事項をよく読み、全ての条件に同意した上で、「新しい申請書を作成」をクリックします。
- アカウントを作成し、Eメールとパスワードを登録します。申請処理状況に関する通知を受け取ることができるよう、普段使用しているEメールをご登録することをおすすめします。
- 最初のページに記載されている申請ID(Application ID)をメモ・保存してください。
- 規定の写真をアップロードします。写真の規格は申請フォーム上に記載されていますが、一般的にはパスポート申請用写真の規格となります。
- 個人情報を入力します。
- 渡航目的、入国予定日、訪問予定地など旅程を入力します。
- 配偶者の有無、家族情報などを入力します。
- 連絡先を入力します。
- 追加の質問に答えます。
- 全ての質問に答えたら、今までに記入した情報の概要が表示されます。記入内容を確認し、最終ページの「全てに同意する」をクリックし、支払い手続きに進んでください。
その後は、個人アカウントで申請処理情報をチェックしてください。
電子ビザで取れるビザの種類は、今のところシングル観光ビザで期間は16日以下となります。シングルとは一度入国・出国したら、そのビザで再入国はできないものとなります。こちらのシングル観光電子ビザの有効期限は、ビザ発給日から60日間で、ロシア入国日から最大16日間滞在できます。またオンライン手数料(40米ドル)の支払いには、VISAやマスターカードを使うことができます。
注意点として、電子ビザの有効期限最大16日について詳しく説明いたします。
「16日間」は「24時間×16=384時間」と同等ではありません。例えば1月1日にロシアに入国したとすれば、入国した時間に関係なく、1月16日午後23時59分までに必ず出国しなければなりません。もしビザの有効期間内に出国できなかった場合は、罰金や入国禁止などの処置、最悪の場合は強制送還の可能性があります。そうような事態を避けるためにも、申請フォーム内に特別に設けてあるビザ有効期間計算表をご利用ください。入国日に応じて出国しなければならない日を示してくれます。
2週間以上の滞在も可能な通常観光ビザの取り方
もし16日間以上滞在したい方は、通常のビザ(非電子ビザ)を申請する必要があります。通常のビザはより多くの書類をロシア大使館の領事部に直接提出する必要があります。
通常のビザの滞在期間は、180日(半年)ごとに最大90日間です。有効期限はビザの種類によって異なります。ただし、電子ビザより交付を受けるまで時間がかかり、渡航目的等を証明する書類(宿泊施設の予約確認書等)が必要となります。
初めてロシアへ行く方は、旅行会社を通すことをおすすめします。慣れてしまえば自分で揃える事ができる書類かもしれませんが、ロシアは書類に厳しい国ですので、1つでも書類に不備があるとビザ発給はしてもらえません。そこでオススメのビザの取り方は「日本のロシアの公式ビザセンター」です。
インターネットで「ロシアビザセンター」と検索したら、すぐにサイトが見つかりますが、リンクも貼っておきます( https://japan.interlinkservice.world/ja/visa-tourist#info )。ビザ申請に必要な日数・料金等の情報も詳しく記載されています。
※ただ情勢により、日々情報が更新される国ですので、常に各自最新情報をご確認ください。
学生ビザの取り方
語学留学、バレエ留学、音楽留学…ロシア留学したい人の目的はそれぞれかもしれませんが、学生ビザの取り方は基本同じですので説明いたします。
まず留学先を決めます。入学試験を受けるなり、オーディションを受けるなりして、留学先から留学許可が降りたら、契約書をもらいます。今はメールでPDF形式の書類が送られてくるので、契約書をもらうためにロシアに行く必要はありません。契約書にサインをして、必要書類(パスポートのスキャンや健康診断書など)を送り、授業料の振り込みをします。授業料振り込みの確認には1-2週間ほどかかる場合もありますし、現在(2023 年度)は経済制裁の影響で銀行のスイフトが止まっているため、日本からロシアへの送金がほぼできない状況ですので難しいですが、授業料の振り込み確認ができたら、招待状を送ってもらいます。その招待状とパスポート(ビザはパスポートに貼ってもらうため)、そしてビザ発行に必要な手数料(サイトにてご確認ください)を在日本ロシア大使館(東京)またはビザセンターに持っていくとビザを発行してもらえます。大使館またはビザセンターからビザ発行のお知らせをもらったら、パスポートを受け取りにいきましょう。これでビザ取得となります。
ただ学生ビザの場合は、最初に発行されるビザはシングルビザ(однократная)と言い、有効期限は90日間となります。これは例え留学期間が1年間の人でも同じです。なのでこの有効期限内にロシアに入国して下さい。また「シングルビザ(однократная)」とは、1回そのビザを使ってロシアに入国したら、もうそのビザで再入国はできないという事です。なのでビザの有効期限内に何かがあってロシアを出国したら、そのビザではロシアに再入国できなくなるので要注意です。
ビザの有効期限が1ヶ月を切ると次のマルチビザ(многократная)に更新することができます。このビザ更新に関しては、各大学や学校・アカデミーの国際部から指示があると思いますので、心配する必要はありません。ここでビザを更新するとビザの有効期限は多くの場合は学年度末までとなります。ロシアの学校は9月始まり6月終わりですので、ビザの有効期限も6月30日までが普通です。また「マルチビザ(многократная)」とは、ビザの有効期限内なら何度もそのビザを使って再入国できるというものです。なので、年末年始・冬休みなどで日本への一時帰国やどこか外国へプチ旅行をしたい方は、このビザ更新後・マルチビザを取得してからにして下さい。
語学留学・その他ロシアに留学したい方へ、オススメの学校は?
語学留学
日本の大学等でロシア語を専門している方は、もちろん担当の先生とご相談ください。大学によっては交換留学など、ロシアの大学と留学のルーツがある所もあります。もし留学先選びが自由な場合は、私個人のおすすめの大学はモスクワでしたら、モスクワ国立大学東洋学部、プーシキン大学、モスクワ国際関係大学です。大手の大学は留学生の受け入れも慣れているので、国際部もしっかりしていて、ビザやレジストレーション(滞在証明)などの手続きもスムーズにしてくれますし、学生寮もあるので、住居などを自分で探す必要もなく、安心です。ただ大手の大学には、日本人留学生を含め外国人留学生も多いので、ロシア語が話せなくても英語を知っていればどうにかなってしまうかもしれません。なので、ご自身で心がけてロシア語を使うようにしなければ、ロシア語の上達は遅くなる可能性もあります。ですが、どこの大学でも基本的に授業はロシア人の先生がロシア語で授業を行なっていますので、ご安心ください。
バレエ留学
ロシアバレエの主なメゾットは「ワガノワメゾット」です。このメゾットはロシアのバレエ学校でしたら、どこでも取り入れられています。ロシアはバレエ大国ですので、小さな都市であってもバレエ学校があります。その中でも有名な2校「ボリショイバレエアカデミー」と「ワガノワバレエアカデミー」の良い点・悪い点を簡単に説明します。
ボリショイバレエアカデミー
とても有名ですね!ロシアの首都モスクワに位置します。ネームバリューもあり、素晴らしい学校ですが、人気なので外国人留学生も多いところが悪い点です。中には外国人でもロシア人クラスに入って学べる人もいますが、ほとんどの留学生は「外国人クラス」に入れられてしまいます。外国人クラスでも先生はロシア人の先生ですが、ロシア人の生徒はいないので、外国人留学生のみでの授業になります。
アカデミーは3階建てになっており、1階は事務・食堂など、2階はバレエレッスンスタジオ、3階は座学の教室・寮になっているので、アカデミーの建物内に寮が入っているのは安心ですね。
ワガノワバレエアカデミー
ロシアのサンクト・ペテルブルクに位置します。とてもレベルの高いアカデミーです。こちらは外国人クラスがありませんので、外国人留学生も現地のロシア人と同じクラスに入って学べるのが素晴らしい点です。
どのバレエ学校でも、ロシアではバレエを趣味や習い事としてではなく、バレエ学校(アカデミー)でクラシック・バレエをはじめ、民族舞踊や宮廷舞踊、演技の授業があり、座学もロシア語をはじめ、バレエ史や劇場史、文学や音楽史も学べるのが素晴らしい点です。
ロシアに旅行・留学したくても、ビザなど書類の件でハードルが高いように思われるかもしれませんが、電子ビザにより、身近な国になってきたように思います。ロシアは芸術大国で、見どころ盛り沢山の国になっておりますので、ぜひいらして肌でロシア芸術を感じてください。