カナダ移住の方法とは?Express Entry徹底解説
エクスプレスエントリーとは、カナダ経済により多く貢献できるスキルを持った人材を優先的に審査する永住権システムのことです。今回は、このエクスプレスエントリーの仕組みや申請方法を徹底解説します。
この情報は2023年10月時点の最新情報です。
目次
カナダで永住権を獲得する方法「Express Entry」とは?
エクスプレスエントリーは、カナダ政府が2015年に導入した永住権申請審査システムです。エクスプレスエントリーの導入によって、ITAまで6か月程度で結果が出るようになりました。
2023年9月〜2025年までExpress Entryの優遇措置が利用できる。
現在、高齢化と少子化のため深刻な労働不足に陥っているカナダ。2030年には900万人のカナダ人が65歳の定年を迎えるため、2023年9月以降、若い労働力として移民の受け入れを開始しています。
2023年から2025年まではエクスプレスエントリーの優遇措置として最低合格点が下がっているため、カナダ移住の狙い目といえるでしょう。
2023年に追加されたExpress Entryの職業カテゴリーとは
カナダ移民局は、エクスプレスエントリーでカテゴリー別ドローイングを導入しました。
これは、特定の職業経験や言語スキル、学歴を持つ候補者を対象にITA発給を優先的に実施するというものです。
優遇の対象は、下記の6つのカテゴリーです。
- フランス語上級者
- ヘルスケア・医療関係者
- 科学、テクノロジー、エンジニア、数学(STEM)分野の専門職
- 電気工や配管などの技術者
- トラックなどの輸送や運送に関わる職業
- 食品業従事者
カナダ移住の方法「Express Entry」で申請できる3つのカテゴリーを解説
エクスプレスエントリーの申請者は、下記の3つのカテゴリーのいずれかに該当する人が対象です。
- フェデラルスキルドワーカー(FSW)
- カナディアンエクスペリエンスクラス(CEC)
- フェデラルスキルドトレード(FST)
それぞれ詳しく見ていきましょう。
フェデラルスキルドワーカー(FSW)
FSWは、FSWは、フルタイムで1年以上の就労経験がある人が対象です。カナダに職歴がなくても利用は可能ですが、カナダの規定TEER0~3に分類される職業で、過去10年以内に1年間、有給での就労経験という基準を満たす必要があります。
詳しい条件は下記のとおり。
就労経験 | カナダの国内外で1年以上のNOCレベルB以上相当の就労経験がある |
ポイント | カナダ政府 FSW独自のポイントシステムで67点以上もっている |
英語力 | CLB7(IELTS6.0相当)以上 |
カナディアンエクスペリエンスクラス(CEC)
CECは、カナダで過去3年の内、1年間以上のNOCレベルB以上のフルタイム就労経験がある人が対象です。高い学歴は不問ですが、就労に支障がないよう英語またはフランス語が話せることが条件です。
就労経験 | カナダでフルタイム1年間以上のNOCレベルB以上 |
語学力 | 検定試験で下記の点数以上をもっている |
TEER0または1 | 英語CLB7またはフランス語NCLC7以上 |
TEER2または3 | 英語CLB5またはフランス語NCLC5以上 |
フェデラルスキルドトレード(FST)
FSTは、技能・専門職を対象とした永住権カテゴリーです。カナダ国内外を問わず、指定されたトレード職で過去5年以内に2年以上の就労経験がある人が該当します。カナダ企業からのジョブオファー、またはカナダの技能資格証明書が必要です。
就労経験 | 指定トレード職で2年以上の就労経験がある |
内定書 | フルタイムで1年以上のジョブオファーがある |
技能資格 | カナダ発行の技能資格証明書をもっている |
語学力 | 英語CLB7以上またはフランス語NCLC7以上 |
Express Entryの申請方法を解説
ここからは、2025年までに申請する人のためのエクスプレスエントリーをステップごとに解説します。
- ステップ1. システムにプロフィールを登録する
- ステップ2. 招待状(ITA)が届く
- ステップ3. 永住権を申請する
順番に詳しく見ていきましょう。
ステップ1. システムにプロフィールを登録する
まずは必要書類を揃え、プロフィールに登録しましょう。
プロフィールはカナダ移民局のCRSシステムによって点数化され、1,200点満点で算出されます。配偶者がいて同時に永住権申請を行う場合は、主申請者1,160+配偶者40の構成となります。
ステップ2. 招待状(ITA)が届く
カナダ移民局では、定期的にドローイングと呼ばれる候補者選びを行います。
2023年からターゲット・ITAドローイングが導入され、これまでのようにCRSスコアの高い順にITAを受け取るのではなく、特定のターゲットを優先して選定される可能性があります。
ステップ3. 永住権を申請する
ITAが届いたら、これまでプロフィールとして登録していた申請内容の裏づけ資料を全て添付して、一定期間以内にオンラインで申請します。
提出できない書類がある場合、ITAは無効となり、永住権申請できなくなるので注意してください。
移民局では、添付資料に不備や虚偽がないか確認の上、永住権を承認します。本申請からおよそ6か月で永住権が届きます。
ITAをもらうために活用すべきコンプリヘンジブ・ランキング・システム(CRA)とは
ITA(招待状)をもらうには、CRA(Comprehensive Ranking System)という1,200点満点のポイントシステムで、高得点を獲得しなければなりません。
- 年齢
- 就労経験
- 学歴
- 英語力
- カナダの資格
- その他
それぞれの項目を見ていきましょう。
年齢(最大110点)
申請時の年齢によってポイントがもらえます。22歳から29歳が満点の110点で、年齢が上がるごとにポイントが減っていき、45歳でポイントがゼロになります。年齢が上がるほどポイントは減りますが、他のポイントでカバーできれば問題ありません。
就労経験(最大130点)
カナダ国内、海外での就労経験それぞれにポイントが加点されます。
・カナダ国内で就労ビザを持ってフルタイムで就労した期間
カナダ国内での就労年数 | ポイント |
5年以上 | 80点 |
1年以上 | 40点 |
・海外でのNOCレベルB以上相当の就労経験の期間
海外での就労経験 | 3年以上 | 1年以上 |
CLB7以上の場合 | 25点 | 13点 |
CLB9以上の場合 | 50点 | 25点 |
・カナダと海外の両方で、NOCレベルB以上相当での就労期間
カナダで1年以上就労の場合 | ポイント |
+海外就労3年以上 | 25点 |
+海外就労1年以上 |
13点 |
カナダで2年以上就労の場合 | ポイント |
+海外就労3年以上 | 50点 |
+海外就労1年以上 | 25点 |
学歴(最大150点)
カナダ国内外を問わず、申請者の最高学歴がポイントの対象になります。海外の学歴を加算するには、カナダ政府指定の学歴査定機関でどの学歴に相当するのか確認しましょう。
最終学歴 | ポイント |
大学院博士課程修了 | 150点 |
4年制大学卒業 | 120点 |
高校卒業 | 30点 |
英語力(最大136点)
カナダの公用語である英語またはフランス語の語学力の両方でポイントがもらえます。
英語力は、IELTSやCELPIPなど、カナダ政府が指定する公式検定の成績をCLBという基準に換算してポイント化してください。もし英語とフランス語の両方ができる場合、さらに24点アップします。
カナダの資格(最大50点)
カナダの資格(調理師など)を持っているとポイントがもらえます。
その他
その他の項目は最大600点の割り振りがあるため、出来るだけ条件をクリアすることが、永住権獲得の重要なポイントです。
州からPNPのノミネーションを受けている場合 | 600点 |
LMIA付きの雇用契約オファーがある場合 | 50点 |
カナダで1年以上の課程を修了している場合 | 15点 |
カナダで3年以上の課程を修了している場合 | 30点 |
カナダ移住の方法「Express Entry」で最速の永住権取得を目指そう!
今回は、カナダの永住権をエクスプレスエントリーで速く確実に取得する方法を解説しました。
お伝えした通り、現在カナダは100万人近い求人がある一方で、労働力不足という時期に入っています。就労の機会が広がる今後、エクスプレスエントリーおよびPNPによって多くの移民を受け入れていく傾向にあるでしょう。
カナダの永住権獲得は、とても長い道のりですが、エクスプレスエントリーで少しでも迅速に、また書類などの不備がないよう周到な準備をして臨みましょう。
永住希望者はこの機会に少しでも早くITAが届くよう、CRSスコアを獲得しながら、本申請に進むことを目指してください。
■出典
・エクスプレスエントリー
https://www.canada.ca/
・カナダ政府の2023年以降の移民傾向/JETRO
https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/11/4002a08d00e5974a.html