日本人の海外就職は難しい?就職にオススメの国・職種・資格を徹底解説
目次
海外の成果主義はキャリアアップに繋がる
日本人が海外で働くことで得られるものがあります。それは海外の成果主義が今後のキャリアアップに関する意識を大きく向上させてくれることです。
海外では日本のように、終身雇用制のような制度はなく、入社時にスキルによって給与が決定されます。その結果、昇給するためにはキャリアアップをしていく必要があるのです。以下の表は海外の平均勤続年数です。
このように、日本では1つの会社に平均12.1年勤務するのに対し、米国では平均4.2年となっています。日本と比較すると、平均勤続年数は約1/3です。このように、海外で勤務年数が短くなるのは、少しずつ実績やキャリアを積み重ね、少しでも給与が良い会社に転職をすることが当たり前だからです。
日本人はひとつの会社で長く働きスキルを磨く人が多いですが、海外に就職すると日本人独特の考え方を変えられるかもしれません。確実に海外の成果主義がもたらす影響は今後の人生を好転させるものでしょう。
日本人が海外就職しやすい職業や資格とは?
ここでは「日本人が海外就職をしやすい職業や資格」について詳しく解説しています。
• 海外就職しやすい職業はIT関係
• 海外就職しやすい資格は「IELTS」
現在、日本国内でITエンジニアが不足することが予測されており、2030年には最大で79万人不足すると経済産業省が発表しています。世界的にも同じことが言え、優秀なITエンジニアの需要は今後高まっていくことでしょう。このように需要と供給のバランスが崩れている(需要が拡大傾向にある)職業では、日本人も海外で就職するチャンスがあります。
また、海外就職をする上で就職する国の言語が話せることは必須だといえるでしょう。世界的にみても英語を使うことも多く、英語が話せると海外就職のチャンスは広がります。英語に関する資格といえば「TOEIC」と思う方も多いのではないでしょうか?しかし、この記事ではより実践的な英語力をはかれる「IELTS」をおすすめしています。
現在では小学生も英語の授業が必修科目として設定され、英語に触れる機会も増えてきています。こうした背景から、日本人も海外で活躍できる可能性が広がりつつあるのです。
海外転職をしてみたいとお考えの方は、エージェントを利用してみるのも一つの手でしょう。おすすめのエージェントはリクルートエージェントです。
では、海外就職しやすい職業「ITエンジニア」に関する、詳しい内容をみていきましょう!
海外就職しやすい職業はIT関係
世界的に見ても、IT分野は堅調に推移しているといえます。世界のIT支出総額が2021年は2020年から6.2%増加し、3.9兆ドル(日本円で約430兆円)に達すると見込まれています。
※参照:Gartner 2021年の世界IT支出の成長率を6.2%と予測より
今後の予測として、ITエンジニアの需要はますます高くなるでしょう。日本人の海外就職でおすすめの職業について詳しく解説した記事を用意しています。興味のある方は、「海外で働くにはどの職種?10の職種とオススメの就職方法」をぜひあわせて読んでみてください。
海外就職しやすい資格は「IELTS」
英語の資格として「TOEIC」は人気があり、2010年以降は毎年200万人を超える方が受検をしています。2020年は新型コロナウイルスの影響もあり、約169万にとなりました。
※参照:一般財団法人 国際ビジネスコミュニケーション協会 2020年TOEICの Listening&Reading TEST 受験者数の推移より
人気のTOEICですが、英語力を証明するには「IELTS」がおすすめです。IELTSは海外では認知度が高く、英語を「書く」「読む」「聞く」「話す」の4つの技能全てがあることを証明できます。IELTSで6.0以上のスコアを取得していると、移住できるほどの英語力がある証明になります。
簡単にTOEICとIELTSの違いを以下の表にまとめました。
目的 | スコア | スコア比較 | 点数刻み | |
TOEIC(L&R) | ビジネスや日常のコミュニケーション力をはかる | 満点:990点 | 970-990 | 1点 |
IELTS | 海外移住や留学に求められる英語力をはかる | 満点:9.0 | 7.5 | 0.5点 |
TOEICとIELTSともに、英語力をはかるために有効な試験といえるでしょう。日本国内での就職ではなく、海外で就職するとなると、実践的な英語力をはかれるIELTSがおすすめです。
ここでは「IELTS」について紹介しました。ほかにも海外就職で役に立つ資格を紹介している「海外就職に役立つ資格・スキル7選「TOEIC 700点」は意味がない?」という記事事があります。資格について詳しく知りたい方はぜひ参考にしてください。
海外で働く難易度や方法、求人募集のタイミング
ここでは、海外で働く難易度・方法・求人のタイミングなど海外で就職する上で知っておいた方が良い情報を詳しく解説しています。
- 就労ビザの発給に関する情報
- 海外で働く2種類の方法
- 海外の求人募集のタイミング
日本人が海外で就職するためには、さまざまな壁を乗り越える必要があります。こうした壁を事前に知っておくことで、有利に就職活動を進められるでしょう。
では早速、就労ビザの発給に関する情報から順にみていきましょう!
海外での就職は難易度高め!ビザ発給が最初の関門
本人が海外で働くために必要な「就労ビザ」の発行は年々条件が厳しくなっています。最悪は、「就労ビザ」の取得できず就職できない可能性があります。
では、代表的な例として米国の就労ビザの発給条件についてみてみましょう。
就労ビザの種類 | 取得条件 | 取得難易度 |
L-1A(管理職) | ・最低4人の部下 ・部下の学歴 ・部下の職歴 ・部下の職務内容など | 高い |
L-1B(技術職) | ・日本の親会社で10程度勤務経験が必要 | 高い |
※JETORO(ジェトロ))就労ビザの審査基準や解釈に厳格化の動き-入国ビザに関する法務ウェビナー開催(1)-から筆者が作成
就労ビザL-1A(管理職)では、取得条件を満たしていても申請者に相応の権限や決定権がなければビザは発給されにくくなっています。また、L-1B(技術職)では、高度な技術開発に関わる、もしくは特許の申請用紙にビザ申請者の名前が含まれる程度でなければ「技術職」の要件を満たすのが難しくなってきています。
米国滞在中に就労ビザを更新する場合は、一度国外に退去した後に更新手続きを行う必要があります。就労ビザの有効期間は、次の通りです。
- L-1Aビザ:最長7年
- L-1Bビザ:最長5年
就労ビザの更新ができなかった場合は米国に入国することができず、海外で無職になる可能性もあります。
そのため、海外での就職は就労ビザの取得が第一関門といえるのです。現在の職業や大学で専門性が高く、他の人よりも飛び抜けた技術を持っている方は比較的就労ビザの取得は簡単でしょう。しかし、そんなに高い専門性や技術力がない方でも焦らないことです。まずは、日本国内で技術力を高め、海外で必要とされる人材になれるよう努力を続けてください。
海外で働く方法は?
海外で働くための方法はいくつかあります。この記事では2つほど海外で働くための方法をご紹介します。
- 日本企業に就職し海外派遣をしてもらう方法
- 30歳までであればワーキングホリデーを利用する方法
なかでも、日本企業に就職して海外派遣をしてもらう方法が一番現実的な方法でしょう。しかし、日本企業に就職後、駐在員として海外に派遣されるまでには一般的にはすこし時間がかかります。なぜなら日本企業の場合は国内でキャリアを積み、海外でマネジメント系の業務を行うことが多いからです。回り道をしてしまう可能性はありますが、国内で実績を作れれば駐在員として派遣される可能性は高くなるでしょう。
また、もう一つの方法として30歳までであればワーキングホリデーを使って海外で働くことも可能となります。海外では就職活動と呼ばれるものはなく、インターンシップなどから企業とのコネを作り、正社員になる流れが一般的です。そこで、30歳までの方はワーキングホリデーを利用し、海外で働き、その後正社員になると行った流れもできます。
ご紹介した海外で働く方法以外にも働く方法はあります。さらに詳しく海外で働く方法を知りたい方は、「海外就職では「即戦力」がキー!失敗しないための5つの方法」をあわせて読んでみてください。
海外の求人募集のタイミングは?
日本国内の求人募集のタイミングとしては、中途採用の場合3~4月、新卒であれば9~10月に求人が増えますよね。しかし、海外では求人募集が増えるタイミングはありません。なぜなら、海外では前述で触れましたが、就職活動といった概念がないからです。新卒であればインターン生として働きますし、中途採用であれば人員が減った際に適時補充といった傾向が強いためです。
海外で就職したい方は、自分が働きたいと思える求人が出るまで常にアンテナを張っておく必要があります。チャンスは少ないかもしれませんが、働きたいと思える求人と出会えるまで、自分のスキルを磨いておくことをおすすめします。
海外と日本は仕事に関する違いがある
海外と日本では、仕事に関する意識の違いがあります。具体的に4つ紹介していきます。
• 違い1|仕事に対する満足度の違い
• 違い2|給与水準の違い
• 違い3|成長意識の違い
一つひとつデータを見ながら詳しくみていきましょう!
違い1|仕事に対する満足度の違い
海外と日本の仕事に対する違いの1つめとして、仕事に対する満足度の違いがあります。
以下の表は海外14カ国と、日本の勤務先に対する満足度です。
※14カ国(アジア圏)
14カ国・地域平均 | 日本 | |
会社全体 | 80.2% | 52.3% |
職場の人間関係 | 79.3% | 55.7% |
直接上司 | 74.5% | 50.4% |
仕事内容 | 81.0% | 58.2% |
プライベート | 78.5% | 60.2% |
日本の仕事に対する満足度はアジア最下位で、仕事に対する満足度が低いこと上記資料からわかります。一方の海外では仕事に対する満足度は高い傾向にあり、海外で就職することで仕事に対する満足度が上がるといえるでしょう!
違い2|給与水準の違い
海外と日本の仕事に対する違いの2つめとして、仕事の給与水準の違いがあります。
世界の平均年収を順位化したデータから、海外との違いを見てみましょう。
海外:1位 7,554,858円(ルクセンブルク)
海外:4位 7,241,913円(米国)
日本:24位 4,247,921円
※参照:OECD
平均賃金を1ドル110円で換算し作成
平均年収が35カ国中24位と比較的低い水準であることがわかります。このデータからもわかるように海外で働くことで、日本よりも給与水準を上げられるでしょう。
違い3|成長意識の違い
海外と日本の仕事に対する意識の違いの3つ目として、成長意識の違いがあります。海外ではスキルアップに対する意識は高く、対して日本ではスキルアップの意識は低いといったデータが出ています。
下記では、東アジアでスキルアップの学習を特にしていないと回答した人のデータです。
対象国 | 学習を特にしていない |
日本 | 46.3% |
中国 | 6.3% |
韓国 | 12.3% |
台湾 | 13.0% |
香港 | 18.3% |
※参照:
パーソル研究所パーソル総合研究所、日本の「はたらく意識」の特徴を国際比較調査で明らかに国際競争力低下の懸念。日本で働く人の46.3%が社外で自己研鑽せず
上記の表から、日本人がいかにスキルアップを行っていないかが浮き彫りとなりました。日本人は、同じ会社で働き続ける人が多く、継続的なスキルアップをやめてしまいがちなのです。
一方の海外では、スキルアップをしていくことで、より良い企業に転職し、年収を上げていくことが一般的になっています。このように、自分のスキルが収入に直結する海外では、自分が継続的にスキルアップしていく必要があるのです。
日本人の海外就職におすすめの3カ国
海外就職の難しさや働く方法が少しずつ理解できたのではないでしょうか?ここでは、日本人が海外就職をするならココ!とおすすめする国を3カ国ご紹介します。
- 米国|高いレベルで働ける
- オーストラリア|メリハリの効いた働き方
- シンガポール|キャリアアップに最適
3カ国ともに日本人も多く居住していますし、日本企業も多く進出しており働きやすい国だといえます。3カ国を以下の表で簡単に比較してみました。
米国 | オーストラリア | シンガポール | |
在留邦人数 | 426,206人 | 97,223人 | 36,423人 |
日系企業数 | 8,606社 | 713社 | 1,199社 |
平均給与額 | 約760万円 | 約740万円 | 約370万円 |
※在留邦人数・日系企業数は外務省:海外在留邦人数調査統計 平成30年要約版より作成
※平均給与額は米国・オーストラリア:OECDより参照、シンガポール:MOHより参照
では早速、3カ国の特徴などを順にみていきましょう!
米国|高いレベルで働ける
米国は在留邦人数が世界で最も多いだけではなく、自由や平等に対する意識が高い国民性で、個性を尊重する傾向にあります。日本のように「空気を読む」ようなことは良い意味でなく、自由に意見がいえる環境が自然と形成されているのです。また、最先端の技術が集まる場所としても知られ、世界中からプロフェッショナルが集まるといった特徴があります。
就労ビザに関しては、外国からの労働者への規制が強化された影響から、就労ビザの取得は難しくなっています。とはいえ、ビザの発給条件を満たしている専門性の高い方、もしくは即戦力であると判断される方は引く手あまたであることは間違いありません。
※参考:アメリカ文化の特徴とは?生活文化から国民性まで詳しく解説
オーストラリア|メリハリの効いた働き方
オーストラリアは在留邦人数は米国と中国に次ぐ第3位となっています。オーストラリアは法律によって労働者が保護されており、休日出勤を指せると1.5~2.0倍の手当を付けなければなりません。そのため、企業も勤務時間以外の仕事をさせることは少なく、メリハリの効いた働き方ができるのです。
就労ビザに関しては、移民が増加している傾向もあり、取得は難しくなってきています。移民の推移は、2010年では約58,00万人程度であった移民が、2020年には約77,00万人に増加するなど、今もなお移民が増え続けています。こうした状況から、IELTS5.0以上と最低ラインが設定され、専門知識やスキルの証明など必要となります。
※参考:海外就職でおすすめの国5ヶ国を徹底比較!英語力と高収入が得られる意外な国とは!?
シンガポール|キャリアアップに最適
シンガポールは東南アジアの拠点として多くの日系企業・外資系企業も進出しています。邦人滞在者数も多く、世界で10番目に多い人数となっています。数多くの企業が集まっているため、アジア圏全体を股に掛ける仕事に携わることができ、キャリアアップを目指すのであれば最適な国だといえます。
シンガポールも就労ビザの取得が難しくなってきています。新型コロナウイルスの影響もあり、国内の雇用を守るため外国人の最低月給を4500Sドルに設定したことから、日系企業の駐在員も減少することが予測されています。こうした国内事情をも影響し、年々就労ビザの取得は他国同様難しくなってきています。
シンガポールの就労ビザの取得を診断してもらえるツール「シンガポール就労ビザ取得ツール」がありますので、気になる方は診断してみてはいかがでしょうか?
※診断は簡易的であり、確実に取れるといった保証をするものではありません。
※参考:海外就職でおすすめの国5ヶ国を徹底比較!英語力と高収入が得られる意外な国とは!?
まとめ:日本人の海外就職は難易度が高め!どの国でも通用するスキルを身につけよう
今回は日本人の海外就職に関する情報を解説してきました。
解説した内容をまとめると以下のとおりです。
- 海外の成果主義にふれることで今後の働き方に好転をもたらす
- 日本人が海外就職するならITエンジニアがおすすめ
- 持っておきたい資格は、総合的な英語力をはかれる「IELTS」
- 海外就職はビザ発給が最初の難関
- 日本と海外では仕事に関する意識の違いがある
- 海外で働くなら米国、オーストラリア、シンガポールがおすすめ
日本企業も同じことがいえますが、やはり専門性やスキルが高い人を優先して採用する傾向にあります。海外はその傾向が顕著で、就労ビザ発給にも関わる重要な部分です。日本語を母国語としている日本人は、海外で就職するにはネイティブレベルの英語力も必要となるため、海外での就職はハードルが高くなります。
とはいえ、強い意志を持って海外就職にチャレンジすることで新たな道が切り開けることは間違いありません。勇気をもって挑戦をして、海外で常にスキルアップし続けられる人材になってくださいね!