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オーストラリアに移住したら健康保険はどうなるの?

オーストラリアに移住したら健康保険はどうなるの?

日本と気候が逆のオーストラリア。普段は健康に自信のある人であっても、海外移住で新しい環境に慣れるまでは体調を崩しやすいかもしれません。滞在中に不慮のケガや病気にかかったとき、頼れる保険がないと不安ですよね。

また、気がかりなのは日本の国民健康保険。日本で払っていた健康保険は、オーストラリア移住後はどうなるのでしょうか。そこで今回は、オーストラリアの医療制度と健康保険について解説します。

この情報は2023年6月時点の最新情報です。

目次

オーストラリアの国民健康保険はビザによって種類が変わる

オーストラリアの国民健康保険は、ビザによって種類が変わります。この章では、加入対象者ごとに健康保険の種類を説明します。

市民権・永住権がある人の健康保険

メディケア(Medicare)に加入できます。メディケアは、国民全体の1.5%の課税税収から成り立つ国民健康保険となっています。オーストラリアの市民権や永住権を持っている人なら誰でも加入でき、オーストラリア永住権を申請中の人も対象となっています。

加入方法は、申請書(Medicare enrolment form MS004)を記入し、最寄りのMedicare(GPO Box 9822 In your capital city)に提出するか、e-mailで送ってください。

メディケアに加入していると、公立病院での治療費は無料になります。また、公立の病院で出産する場合は、分娩に関わる検査や入院がカバーされます。

ただし、公立病院では担当医の指名はできません。また、専門医や私立病院での診察や手術、歯科治療、薬代、メガネやコンタクト代、救急車サービス、整体などは適応外となっています。

高額な医療費が心配な人は、民間の保険に別途加入してください。ただ、たとえ2つの保険に入っていたとしても、最大75%のカバーで、残りの25%は自己負担となる点に注意しておきましょう。

学生ビザ保持者が加入できる海外留学医療保険

オーストラリアの留学生は、OSHC(Overseas Student Health Cover)と呼ばれる海外留学医療保険への加入が義務付けられています。また、学生ビザ申請時には、手配証明書(Policy Certificate)の提出が義務付けられています。

OSHCは、学生ビザでオーストラリアに滞在する期間の病気やケガで診てもらった場合の医療費の負担を軽減する保険です。滞在中の事故による入院費や処方箋代までをカバーします。

ただし、最低限の病気やケガを補償するベーシックな医療保険なので、入院費は公立病院は無料ですが、私立病院やクリニックは保険会社が提携した病院のみカバーされます。MBS(メディケア診療報酬表)に載った医療費の基準額を超過した場合、差額は自己負担となるので注意してください。

また、OSHCは海外旅行保険より格安で加入できますが、携行品の損傷や盗難・不動産の損害などはカバーできません。あくまでも医療費のみ補償の対象となる点を理解しておき、心配な人は海外旅行保険と併用してください。

加入の際は、オーストラリア政府認定のOSHC取扱い会社AHM、NIB、ALLIANZ、MEDIBANK、BUPAの5社から選びましょう。補償内容に若干の違いはありますが、カバーできる項目はほぼ同じです。

ワーホリや新卒者暫定ビザで加入できる健康保険

ワーキングホリデービザや新卒者暫定就労ビザなどのビザ保持者は、海外留学生健康保険には加入できません。

就労ビザ保持者の人も含め、短期滞在者向け医療保険(Overseas Visitors Health Cover/OVHC)を選んで加入してください。

90日以内の滞在におすすめな健康保険

オーストラリアに90日以内の短期滞在の人には、民間会社の海外旅行保険が最適です。海外旅行保険は、自宅を出たときから再び自宅に戻るまでの90日間を補償してくれます。

旅行中のケガや病気など医療保障の他にも盗難被害や器物破損など、医療以外の適用範囲が広いのも特徴です。

また、日本で加入できるのもうれしいボーナス。英語が苦手な人でも安心して手続きができます。いざというときの対応も24時間日本語対応でオペレーターサービスを提供してくれるので安心です。

オーストラリアの病院の種類

オーストラリアの医療は、GP(総合診療医)、レントゲンなど各種検査機関、スペシャリストと呼ばれる専門医 、病院、薬局という5つの機関に分かれています。下記に病院の種類を説明します。

1.GP
家庭医・かかりつけ医のこと。緊急を要さない病気の際は、まずGPに予約を取って診察してもらい、処方箋・紹介状・勤務先に提出する診断書(Medical certificate)を書いてもらいます。その際、日本のように直接専門医に予約はできません。GPに紹介状を書いてもらってから予約を取って受診しましょう。

2. Hospital 
公立病院・大学病院のことで、基本的に費用は無料です。救急医療の場合、公立病院の救急部門を患者自ら出向くか、または救急車で搬送されてからの受診が可能です。このED(Emergency Department)は、24時間体制で時間外医療や救急搬送にも対応しています。

3. Specialist
婦人科・皮膚科などの専門医のことです。GPの紹介状がないと診察できません。

4.Walk-in-centre、Walk-in-Clinic
公立病院の救急センター、公立病院の医療クリニックのことです。予約なしでそのまま治療を受けることができる医療機関となっており、基本的に費用は全て無料です。ただし、緊急医療優先なので待ち時間が長いのが欠点です。

5.Ambulance
救急車サービスのこと。日本では無料で受けられる救急車ですが、オーストラリアでは有料となり、居住地での公営料金が課せられるため注意してください。なお、オーストラリアの緊急の電話番号は「000」で、救急・警察・消防の全てをカバーします。

日本の国民健康保険は支払うの?

日本の国民健康保険は支払うの?

健康保険と厚生年金保険は、一般的に民間企業に勤務する人が対象です。出向等により海外に居住している人でも被保険者となります。その場合は、日本の保険料を支払う必要があります。

日本の国民健康保険は脱退をしないといけない

移住目的でオーストラリアに渡航する人は、住民票のある市町村役場に出向いて転出届を提出する必要があります。脱退手続きの際は、マイナンバーカードと国民健康保険証を持って来所しましょう。

なお、出国前に市町村の住民登録を抹消した人は、国民健康保険の被保険者ではなくなります。脱退をすれば、保険料を払う必要はありません。移住先のオーストラリアでの国民健康保険や民間の医療保険に加入してください。

住民票がそのままだと国民健康保険料がかかる

短期の留学やワーキングホリデーなどで、住民票の異動手続きをしない(国内に住民票がある)場合は、海外に滞在している期間も保険料がかかります。

ですが、日本の健康保険・厚生年金保険を払い続けている場合、海外でかかった医療費は帰国後に払い戻し(還付)を受けることができます。かかった医療費の全額をいったん自己負担しておき、加入している健康保険組合等に請求手続きをしてください。

その場合、診療報酬明細書や領収明細書など、療養に要した費用の額がわかる書類に日本語翻訳文を添付して請求しましょう。戻ってくる金額は、日本国内で同じ保険診療を受けた場合が目安となります。

オーストラリアに移住するならビザに合った健康保険に加入しておこう!

オーストラリアは、日本と同じように世界最高水準の医療先進国です。公立病院の救急センターや医療クリニックは、予約なしで治療が受けられ、費用も無料。24時間の救急医療体制が整っているため、万が一のときも安心ですね。

とはいえ、オーストラリアの生活に慣れるまでは体調を崩すことも多く、日本と違う医療システムに戸惑うかもしれません。そんなときであっても、経済的かつ精神的に頼りになるのが健康保険の存在です。今回の記事を参考に、自分のビザの種類に合った健康保険を選び、安心安全に滞在を楽しんでください。

出典:メディケア
https://www.servicesaustralia.gov.au/medicare

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