オーストラリアでのチキンの丸焼き
シドニー生活歴4年の40代男性 T.Tさんからの投稿
チキンの丸焼きにびっくりした話
オーストラリアにやってきて買い物のために初めて大手スーパーのウールワースに行ったときの話です。
ウールワースに入って驚いたことはチキンの丸焼きが売られていたことです。こんがりとローストされたチキンが一羽丸ごと袋に入って売られています。もちろん、ハーフやクオーターもありましたが、丸ごと一羽という圧倒的スケールのデカさと言いますか、恥ずかしながらそれまでチキンの丸焼きという物を食べたことが無かった私にとっては衝撃の出来事でした。袋の中に入っているチキンはこんがりと茶色に焼かれておりそれはもう美味しそうでした。そして値段を見てみると、7ドル90セント。即座に当時の為替レートから日本円に算出してみると、その安さに驚きました。値段は年々上がって行きましたが。
これは買わねば、と思い早速購入して家に持ち帰り皿に取り出してみました。初めて見るチキンの丸焼きでどう食べていいかわかりませんでした。お箸で食べようにもチキンが圧倒的な大きさでお箸がその機能を発揮することができず、持ち上げようにもつかめないですし、お箸を刺してみても重くて不安定ですので床に落っことしそうでした。そこでお箸を使うことを諦め、後ろ足を掴んで捻ってみました。捻り続けるとちょうど関節から外れましたので期待に胸を膨らませて食べてみましたが、噛んでいる途中で思わず止まってしまいました。汁気が無くてぱさぱさしていたので、噛んでも水がないと飲み込めなかったのです。何というか、チキンステーキみたいな感じをイメージしていたのですがそれとはかなり違った印象でした。
翌日再度ウールワースに行ってチキンを焼いているところを見てみると、チキンはパイプに串刺しにされて火の上に置かれて機械で回転させられながらじっくりと焼かれていました。そのローストの過程でチキンの身から水分の大部分が抜け落ちていたのです。そこで調味料のコーナーを見てみると色んなソースが置いてあったのでチリ系の辛そうなソースを買って冷蔵庫に入れておいた残りのチキンを食べてみましたが、ソースをかけて食べると水分が補われて結構美味しかったです。ああ、そうかこのチキンは塩をかけてそのまま食べるものではないのだ、と理解しました。
以降、街中でもチキン専門店を見かけては食べるようになりました。お昼ご飯にチキンの丸焼きのお店巡りをしたりもしました。店によっては炭火で焼いたりしており、店ごとに結構味が違います。一番おいしかったのが南米系のお店です。すりおろしたニンニクにマヨネーズを混ぜたソースに漬けて食べるのですが、チキンにしっかりと味がついていてソースのニンニクの量や味付けが絶妙で晩御飯にチキンを一人で丸々一羽食べることもありました。ビールに非常に合うのでビールを飲みながら指が脂まみれになっても気にせずにどんどんと手が進みました。美味しかったですね。オーストラリアで思い出に残る食べ物はいくつかありますが、その中でもこのチキンの丸焼きが特に印象に残っています。