オーストラリアで友達が牧場を買って移住した話
シドニー生活歴4年の40代男性 T.Tさんからの投稿
「この前牧場買ったよ。」
と、オーストラリアで働いていた時に唐突に同僚から言われました。
同僚はロシア人で結構気が合うので仕事を通してだんだんと仲良くなりました。
奥さんとお子さんと共にロシアから渡豪しており、もう子供も大きくなってきたことと奥さんがウラル山脈近くの牧場育ちであったこともあり牧場に住むことが夢であったために、愛妻家の彼は自分のわがままでオーストラリアまでついて来てくれた奥さんへのお礼も兼ねて夢をかなえてあげようと牧場を買ってリタイアする決意をしました。
牧場の場所を聞いたらゴールドコーストの近くとのことです。
私たちが住んでいたのはシドニーでしたが、そこから1000キロメートルくらい離れているとのことでした。
グーグルマップで見てみるとゴールドコーストから300キロメートルくらい内陸に行ったところにその牧場はありました。
物は言いようでゴールドコーストの近くですが、ただ他に目印となる場所がないだけで実際はかなり遠いです。
ゴールドコーストの内陸部から南方にかけての地域はニューイングランドと呼ばれており、全般的に降雨量が少ないオーストラリアの中でも降雨量が多く気温も温暖ですので牧草が良く育ち牧畜が盛んな場所でもあります。
そのニューイングランドを蛇行してゆったりと流れる中規模の川の畔の牧場を購入したとのことでした。
友達は牧場について目を輝かせて話しており、折に触れてよかったら遊びに来いよ、と言ってくれたので思い切って遊びに行ってみました。
ちょうど友達がシドニーに用があってやってきた帰りに車に乗っていきました。
シドニーを離れて車を走らせている時に外の景色を見てみるとその美しさに感動しました。
広大な牧草地が広がっており、過行く景色が少しずつ変化しています。
場所によっては牛ではなく羊の群れであったり、馬に乗ったカウボーイが牛を追い立てていたり、カンガルーが飛び跳ねていたり牧場まで14時間かかりましたが、外を見ているだけで退屈しませんでした。
降雨量により適している家畜が異なるようで、羊は乾燥に強いために比較的雨の少ない場所で飼われているようです。
一方で牛は降雨量の多い地方で飼育されています。
そのため、車窓から羊が見えなくなり次第に牛が見られるようになるとニューイングランドに近づいた合図となります。
牧場に着くと夜も更けており、何が何だか分からないまま門から牧場に入っていくと家まで5分以上かかった気がしました。
どれだけ広いのだ、と思い次の日の朝家から道の先の門を見てみると門らしき小さな点が微かに見えます。
友達に家から門までの距離を聞いてみると何と2キロメートルあるとのことでした。
歩いて宅急便を取りに行って戻ってくるのに小一時間かかります。
さすがオーストラリアの牧場と唖然としました。
そんな友達の牧場も大規模なブッシュファイヤーで焼けてしまったそうです。
さぞや落胆しているだろうと思いましたが、意外とそうでもなく雨が数回振ると凄い勢いで牧草が生えてきて数週間ですっかり元通りになったそうです。
オーストラリアで牛肉の生産が盛んであることが理解できました。