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オーストラリア移住のために必要なビザやその条件とは?

オーストラリア移住のために必要なビザやその条件とは?

オーストラリアは、観光はもちろん移住したい国として人気の高い国です。オーストラリア統計局(ABS)の発表によると、2017年から4年間で海外からの移民受け入れ数は102万人を超えました。

いつか住んでみたいと思っている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、オーストラリア移住に必要なビザの種類や条件などをまとめました。将来的に永住を計画している人は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

オーストラリアの基本的な生活情報

豊かな自然と広大な国土を持つオーストラリア。日本と季節は真逆ですが、時差も短く、日本への帰国や家族との連絡もスムーズです。温暖で治安も良いため、いつか永住権を取得して住みたいと思う人が増えているのも不思議ではありません。

移住者に人気の都市には、ブリスベン、シドニー、メルボルンなどがあげられます。中心地には学校やオフィス、カフェやショップも多く、休日には近くの公園やビーチでのんびり過ごすこともできます。

オーストラリアは経済も順調に発展しているため、生活水準も日本と大差ありません。暮らしていて物価などにギャップを感じることは少ないでしょう。むしろ最低賃金が時給約25ドル(約2,250円)であるため、アルバイトでの給料は日本より好条件です。ただし、外食費は日本より1.5~2倍程度高めなので注意しましょう。

オーストラリアの永住権とは

永住権は、短期または長期の移住のためのビザとは異なり、オーストラリアの市民権と同等の権利が与えられます。そのため、年齢、英語力、経歴、技能、財政力、健康、仕事、個人の才能など多角的に審査されます。

最初は5年間有効ですが、5年後に更新でき、居住期間と英語の条件を満たしている場合は、市民権への切り替えも可能です。

オーストラリア永住権のメリット

オーストラリアで永住権を取ると次のようなメリットがあります。

  1. オーストラリアで長期滞在ができる
  2. 再入国ビザを5年ごとに更新すれば出入国が自由になる
  3. Medicareという国民健康保険に加入できる
  4. オーストラリアでの学費が安くなる
  5. オーストラリアで家を購入できる
  6. 永住権保持者という求人が多く就労しやすくなる
  7. オーストラリアで起業できる
オーストラリア永住権のメリットの画像

留学してから永住を目指す!ビザの種類と条件

オーストラリアに留学してから移住を考えるメリットは、留学中に実際に住んで実生活を体験できることです。人脈や生きた英語力を身につけたり、旅行して住みたい場所を探したり、有意義に過ごすといいでしょう。

また、将来的に永住権取得を視野に入れるなら、修得したいのは学士以上の学位や専門性のある資格です。専門学校の場合でも、国が指定する職種に合った分野を選びましょう。

卒業生ビザ (SUBCLASS485)

有効な学生ビザでコースを修了した場合、卒業後2年間の滞在許可である卒業生ビザがもらえます。

卒業生ビザには、「Graduate Work Stream」と「Post-study Work Stream」という2種類があります。

「Graduate Work Stream」の対象は、オーストラリアの大学で2年以上就学して学位を修得した人ですが、専門学校コースの場合でも、MLTSSL職業リストの職種または関連性が高い職種を勉強した人も申請可能です。ただし、MLTSSL職業リストの職種でSkill Assessmentに合格する必要があります。

「Post-study Work Stream」は、学部に関係なく学士以上の学位を有する留学生が申請できます。ビザの期間は2~4年です。

例えば、大学院の修士課程で2年以上のコースを履修した人は有効期間が3年に延長されます。博士課程を修了した人は4年になります。この間に職業リストの分野で3年以上の職歴を作っておけば、永住権申請に大変有利になるでしょう。

移住して働きたい!就労ビザの種類と条件

就労ビザは、永住権を目指す方法として最も代表的なビザです。オーストラリアの会社に就職をして、その会社に認められ、雇用主にスポンサーになってもらって取得する方法が一般的です。

審査方法はポイント制で、年齢、英語力、職歴、学歴、オーストラリアでの学歴や職歴の有無を点数に換算し、65点以上を取れば申請できます。

技能職業リストには、STSOL(短期)とMLTSSL(長期) の2種類があります。短期なら2年、長期は4年の滞在が可能になります。

大別すると、一切のスポンサーなく自力で申請するカテゴリーとスポンサー付きカテゴリーに分かれます。カテゴリーはさらに細分化しているため、ここでは代表的なビザのみ紹介します。

技術独立永住ビザ(SUBCLASS189)

自分の力で取得する一般的な永住権ビザです。スポンサーや推薦者を必要としない技術独立(Skilled Independent)系ビザのため、移住者に最も人気があります。オーストラリアへの移住が無期限で認められる永住ビザで、国民健康保険(Medicare)に加入できます。

申請するためには、18歳以上45歳未満であること、職業が技能職リストに記載されていること、年齢や英語力、実務経験などポイント制の審査にて65点以上獲得することなどの条件を満たすことが必要です。

申請方法は、まず関心表明EOI(Express of Interest)に登録し、ポイントが高い人から優先的に許可が下ります。申請許可が発行されてら60日以内に本申請を行えば永住権が取れます。

州政府後援技術移民ビザ(SUBCLASS190)

これは、上記の技術独立永住ビザ(S189)ではポイントが不足する場合のオプションといえる技術移住永住権ビザです。州政府がスポンサーとなり、5ポイントの追加点が得られます。

州の職種リストがあり、期限内にスキル証明書が必要です。EOIに登録後、ポイントが高い人からノミネートされます。申請許可が発行されたら60日以内に本申請を行います。

EOI申請後に州政府への申請が別途必要(NSW州を除く)なので注意してください。また、ビザ取得後は、申請した州で最低2年住んで貢献するなど、居住と就労に地域の縛りがあることを理解しておきましょう。

地方移住暫定ビザ(SUBCLASS491)

技術独立永住ビザ(S189)でも州政府後援技術移民ビザ(S190)でもポイントが不足する場合のオプションといえる技術移住ビザです。暫定で5年の滞在が可能です。州政府からスポンサーになってもらうか、特定エリアに在住する永住者の親戚もしくは市民の親戚がスポンサーになると15ポイントの追加点が得られます。

このビザでは人口増加地方エリアに住んで働くことが条件となります。指定されたエリアにてのみ在住・就労・就学が可能です。

また、メディケアに加入できるメリットがあります。さらに、MLTSSL長期職業リストの200種ほどに加え、STSOL短期リストとROL地方リストの400以上が増えるため、職種選択の幅が広がります。

短期就労ビザから中期就労ビザ、永住権へ

短期のSTSOL(Short Term Skilled Occupation List)職業群では、最大2年の就労が可能ですが、永住権の申請は不可となっています。

中期のMLTSS (Medium and Long Term Skilled Occupation List) 職業リストからは4年の就労ビザがもらえます。また、3年経過後に永住権の申請が可能。就労しながら英語力とキャリアを磨き、関連要件をクリアしたら、雇用者後援ビザ186、地方雇用者後援ビザ187などを経て、永住権を申請できます。

ビジネス/投資移民(SUBCLASS 188)

地政学的に安定しているオーストラリアで、ビジネスを運営(Business Innovation)したい人もいるでしょう。事業運営の一般的な方法には、個人事業事業主(Sole trader)、会社を設立する(Company)の2つがあります。

投資家としてオーストラリア投資家ビザを申請するには、年間に250万ドル投資する必要があります。事前にどの州に居住して投資したいかを決め、その州の条件を満たした上で、州政府の推薦を受けて申請しましょう。

パートナーや家族と暮らすために移住をしたい!

就学や就労のためにオーストラリアに来る人がいる一方で、大切な家族やパートナーと一緒に暮らすために移住を計画する人もいるでしょう。ここではそんな時に必要なビザを紹介します。

親引き寄せビザ(SUBCLASS143/173/864/884)

永住権・市民権を持っている人が、オーストラリア国外にいる親を呼び寄せるビザのことです。申請してから10年待ちとも言われています。

申請条件として、引き寄せスポンサーとなる「子」はオーストラリアの永住権を保有し、市民であることが必須です。ただし、オーストラリアに2年以上在住していることが証明できなければいけません。また、Sponsored Parent visaのスポンサーになるには4年以上が条件となります。

少しでも早く親を呼び寄せたい人は、コントレビュートカテゴリー(Contributory Parent Categories)に申請することもできます。このカテゴリーは、お金を払えば18か月以内という短い審査でビザを発給してくれます。ただ、申請費用が非常に高く、 総コストは親1人あたり5万ドルかかると言われています。

パートナービザ(SUBCLASS300、309/100、820/801)

パートナービザは、オーストラリア市民・永住者と結婚、事実婚、婚約関係にある人を対象とした移住ビザです。経済的な援助があり生計が成り立つ場合、申請者の英語力は特に問われません。

パートナービザには「婚約者ビザ(サブクラス300)」「オンショアパートナービザ(サブクラス820/801)」「オフショアパートナービザ(サブクラス309/100)」の3種類があります。オーストラリア国内で申請する場合はオンショアパートナービザ(サブクラス820/801)、国外から申請する場合はオフショアパートナービザ(サブクラス309/100)になります。

オーストラリアの場合、パートナーの定義は広く、結婚の他ディファクト(事実婚)や同性愛カップル(同性婚)も含まれます。また、パートナーは、オーストラリア市民もしくは永住権保持者、または同等のニュージーランド市民との婚姻または事実婚関係が証明されなければなりません。

パートナービザ申請時に証拠として提出できる物は、2人の写った写真(時系列で)、賃貸アパートの連帯契約書、共同名義の銀行口座、共同名義の請求書、共同名義の資産証明、出会いから事実婚(結婚)にいたるストーリーレポートなどがあります。

配偶者ビザは2年後に審査されるので、先に一時的配偶者ビザを取っておくと、その間の婚姻関係が証明できます。

パートナービザ5種類をまとめると下記になります。

  1. SUBCLASS300
    国外の申請者が入籍目的に入国する場合の婚約者ビザ
  2. SUBCLASS309
    国外から申請する一時的配偶者ビザ
  3. SUBCLASS820
    国内で申請する一時的配偶者ビザ
  4. SUBCLASS100
    国外から申請する配偶者ビザ
  5. SUBCLASS801
    国内で申請する配偶者ビザ
オーストラリア移住のVISAについての画像

オーストラリア永住を目指すなら、じっくり有利な移住プランを練ろう!

今回はオーストラリア移住を目指す人のために有効なビザの種類について、移民局の最新情報をチェックしながら解説しました。

今回ご紹介したようにビザの種類は多く申請は複雑なため、信頼できる移民弁護士などプロの力を借りるとスムーズにいくかもしれません。

オーストラリアは移民に寛大で、優秀な人材を歓迎する気風があります。移民法は常に改正されていますが、変更時にも猶予やそれをカバーするチャンスを残していることが多いため、安心して永住権取得に挑戦できますよ!

参考:オーストラリア内務省

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