永住者がオーストラリア再入国に必要なエントリービザとは?
オーストラリアの出入国審査は何度経験しても緊張してしまいますね。せっかく永住権を取得しても、付随しているリターンビザの更新を忘れると、再入国できない危険性があります。
今回は、オーストラリアに再入国する際に必要になる「リターンビザ」について解説します。注意点や更新方法についても説明しますので、参考にしてください。
この情報は2023年7月時点の最新情報です。
目次
オーストラリアの永住権を取得したら手に入るリターンビザとは?
オーストラリアでS189やS190などの永住ビザを取得すると、自動的に付随してくるのがリターンビザ(Resident Return visa) の存在です。永住ビザがアクティブになると同時に、このリターンビザ(サブクラス155・157)も始動されます。
このエントリービザは、Travel Facilityとも呼ばれ、永住者がオーストラリア国内外を自由に出入りできる証明書のようなもの。ただし、永住ビザに自動的に付随してくるため気づかない人が多いのかもしれません。
もちろんオーストラリア国内に滞在する場合には気にしなくてよいビザですが、日本に一時帰国する際には「有効期限」を確認し、必要であれば「更新」する必要があります。この章では、このリターンビザの注意点について詳しく解説します。
エントリービザの注意点
エントリービザは、永住権を取得した際の入国日または発効日からアクティブになります。永住ビザ自体は永久的なものですが、リターンビザに関しては5年ごとの更新が必要です。
リターンビザの注意点は以下の3点です。
- リターンビザの期限は5年である
- 5年おきに更新しなければいけない
- 5年中2年間はオーストラリアに滞在していなければ更新できない
これら3つの条件が欠けると、オーストラリアの出入国に制限が生じ、自由に渡航できなくなります。つまり、実質的に永住権そのものが無効になってしまいかねないので注意しましょう。
市民権を取った居住者の場合
オーストラリアで生まれた子どもは、自動的に市民権とオーストラリアのパスポートを得るため、永住ビザの規定からは対象外となります。出入国はそれぞれ自国のパスポートで行います。
二重国籍を認めている国出身の人は、オーストラリアに居住する場合、現地での市民権を取得すると良いでしょう。日本人は、海外の国籍を得ると同時に日本国籍を失効してしまうので、市民権を取るのには注意が必要です。
旅行を希望しない居住者の場合
すでにオーストラリアに永住者として滞在している人で、旅行を希望しない場合は、このリターンビザを申請する必要はありません。
有効期限が失効してから日本に一時帰国すると永住権はなくなるの?
リターンビザの有効期限が切れた後にオーストラリアを出国した場合、永住者としてオーストラリアに戻ることはできません。その場合は、オーストラリアに到着する前にリターンビザを申請し、許可される必要があります。
また、日本に一時帰国している間に5年目を迎えるという人は、必ず更新手続きを済ませてからオーストラリアを出国するようにしてください。この章では、リターンビザの更新方法と、失効した場合のテンポラリー・リターンビザからの切り替え方法について説明します。
リターンビザ(サブクラス155)の申請方法
リターンビザの申請は、オンラインで簡単に更新できます。まずはオーストラリア政府のサイトを開き、Resident Return visaのページにアクセスしてください。
- Applyボタンをクリックします。すでにアカウントを持っている人は、ユーザーネームとパスワードを入力してログインします。アカウントを持っていない人は、まず新しいアカウントを作成してください。
- ログイン後、申請条件を入力します。更新の条件としては、発給日から「5年中2年以上オーストラリア国内に居住している」ことが求められます。ここが一番重要なポイントなので「YES」と答えてください。移民局が出入国管理を記録しているため、虚偽の申請は却下されるので注意しましょう。
- 次に、オーストラリア居住中に問題を起こしたかどうか問われます。チェック項目を確認しながら「NO」と答えます。申請が終わったら、下記のような内容のリターンビザ発給のお知らせがオンラインで送られてきます。プリントアウトするか、スクリーンショットを撮って保存しておきましょう。
Application status | Resident Return (subclass155): Granted |
Visa duration and travel | |
Date of grant | XX July 2023 |
Must not arrive after | XX July 2028 |
Length of stay | Infinite from the date of each arrival |
Travel | Unfinited until XX July 2028 |
サブクラス155の費用と所要時間
オンラインで申請する場合の料金は、申請者ごとに465オーストラリアドルかかります。書類申請の場合は、申請者ごとに545オーストラリアドルかかります。また、申請から取得までは、最小で1日~最大で14日の所要時間がかかります。
リターンビザ更新のメリット
永住者としてリターンビザを更新しておくことで、有効期限が切れるまで何度でもオーストラリアへの出入国ができます。オーストラリア国内外を何度でも旅行できます。
また、理由があれば「最長5年間」の国外旅行も可能です。オンライン更新は簡単で、通常なら1日で取得できる方法です。リターンビザを保持しておくために、更新手続きを怠らないように心掛けましょう。
リターンビザが失効したらすべきこととは
もし、オーストラリア国外でリターンビザが期限を迎えた場合は、すぐに臨時のテンポラリーリターンビザ(サブクラス157)を申請してください。
S157を申請するには、状況次第で難易度が大きく異なります。通常は、「5年中2年以上滞在」という条件を満たせた場合、問題なく発給されます。
S157からS155に切り替える方法
テンポラリーリターンビザS157は、3か月有効の限定的なものです。S157にてオーストラリアに再入国したら、永住意思を示すためにも次の2年間は必ずオーストラリア国内に滞在してください。
最低でも2年間は国内に留まらないと、通常のリターンビザS155への切り替えは出来ません。次期に、5年有効のリターンビザ(サブクラス155)を更新して取得してください。
ここで注意したいのは、2回目以降のS157の発給は非常に制限されたものになり、申請を却下されることもあるということです。1回目の切り替えでリターンビザを取得することが、永住者の自由なオーストラリアの出入国には不可欠となります。
オーストラリア出国前には必ずリターンビザの有効期限を確認しよう!
今回は、リターンビザの更新の重要性とその更新手順についてお伝えしました。
オーストラリアを離れている間に期限切れを迎えてしまう場合は、出発前に早めの更新を行ってください。希望者には、ラベル・シールをパスポートに貼ってくれるので、期限切れが心配な人はお願いしておくと良いかもしれません。
リターンビザは、永住者に本当にオーストラリアに永住する意思があるかどうかを確認する目的のもの。せっかく取得した永住権ビザを失効しないためにも、忘れず更新手続きをして、安心して日本に一時帰国してくださいね。
出典:リターンビザ(サブクラス155-157)
https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/getting-a-visa/visa-listing/resident-return-visa-155-157
永住者の海外旅行
https://immi.homeaffairs.gov.au/visas/permanent-resident/overseas-travel