オーストラリアで働きたい!就労での移住に必要なのは?
オーストラリアは経済も順調で、労働条件や移民の受け入れ体制も万全な働きやすい国。豊かな自然の中で、ゆったりと夢の海外就職を叶えてみたいと思いませんか。
そこで今回は、オーストラリアで正社員として働くのに必要な就労ビザについて紹介します。ビザの条件や永住権取得までの道のりについても解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
この情報は2023年3月時点の最新情報です。
オーストラリアで働くには何が必要?
オーストラリアに移住して就職するためには、まず就労できる「ビザ」の取得が必要です。就労が可能なビザは、永住権、ビジネスビザ、学生ビザ、ワーキングホリデービザ、パートナービザ、卒業生ビザの6種類です。
このうち、正社員としてフルタイムで働けるビザは、永住権と就労ビザとなっています。本章では、就労ビザの種類や条件、申請方法などを解説します。
オーストラリアに就労目的での移住に必要なTSSビザ(Subclass 482)とは
オーストラリアで3カ月を超えて仕事に従事するためには、Temporary skill shortage visa(TSSビザ)と呼ばれる就労ビザの取得が必要です。
TSSビザは、オーストラリアの会社や企業などスポンサーが必要となるため、スポンサービザとも呼ばれます。オーストラリア国内で不足している技能労働者を補うのが目的なので、「職業リスト」に載っている職種でのみ就労可能です。
この職業リストには、STSOL(短期)とMLTSSL(中長期)の2種類があり、短期は2年、中期は4年の滞在が可能になります。
また、TSSビザには次の3種類があります。後述でくわしく見ていきます。
- 2年間有効の短期就労ビザ(Short-Term stream)
- 4年間有効の中期就労ビザ(Medium-Term stream)
- 外国人の就労に関する合意(Labour agreement stream)
2年間有効の短期就労ビザ(Short-Term stream)取得の条件とは
短期就労ビザとは、2年間就労可能な暫定的ビザです。短期職業リストSTSOLに掲載されている職種や技能での職歴が2年以上ある方が申請対象となります。
オーストラリア人労働者では不足するスキルギャップを熟練した外国人労働者が一時的に埋めるようデザインされています。そのため、ビザの更新は一回のみ、最大4年までが上限となります。更新の際にも中期就労ビザには切り替えできません。
また、短期就労ビザでは永住権ENS(Subclass 186)へのPathwayはありません。将来的に永住権を希望する方は初めから4年有効の中期就労ビザを取得するほうがいいでしょう。
4年間有効の中期就労ビザ(Medium-Term stream)取得の条件とは
中期就労ビザは、4年間有効の暫定雇用ビザです。中長期戦略技能リスト(MLTSSL)に掲載された職種や技能修得者を申請対象としています。
国内のオーストラリア人労働者では雇用できない、より専門性の高い職業の補充を図るためのビザとなっています。45歳未満であれば更新は無制限である点が特徴です。また、雇用主が認めれば、3年後には永住権ENSの取得につながります。
外国人の就労に関する合意「Labour agreement stream」取得の条件とは
4年間有効です。年齢等の諸条件の免除があり、熟練職業リストに掲載された技能者に限定されません。ただし、雇用主が政府に合意を得る必要があります。
オーストラリアで働くために必要な条件
オーストラリアで就労する申請者は、就労ビザの取得の他にも下記のような条件が求められます。
- 職務経歴署(エントリーした職種での2年以上の実務経験者であることを証明)
- 英語力の証明(指定されたIELTSの必要スコアをクリアしているかを証明)
- 無犯罪証明書(10年以内に1年以上住んだことのある国すべて)
- 資格、推薦状(運転免許証、過去働いた会社や上司からのノミネーション)
- 健康診断書(健康状態、精神状態が正常であることの証明)
オーストラリアでの就職では、「ポジション採用」が主流です。入社して配属されたら、前任の引継ぎもほぼないまま仕事をこなさなくてはなりません。そのため実務経験(最低職歴2年)は必須条件となっています。
即戦力として働けるよう英語力が問われますので、IELTSなどを受験して証明しましょう。
ただし、日本語を武器にした仕事に就く場合は、日本人らしい気配りや気遣い、協調性などをアピールできます。英語はそこそこであっても、日本人の特性を生かしたコミュニケーション能力が備わっている方は、面接の際にセールスポイントとして売り込むといいでしょう。
また、必須条件というわけではありませんが、運転免許証を持ち、車通勤できる方の方がシティー以外での就職には有利となります。
【補足】オーストラリア留学後に就労ビザを取得する場合
オーストラリアでの就労ビザは、「職務経験2年以上」という条件があるため、まだ会社に就職した経歴のない新卒者の方は、困難に感じてしまうでしょう。
そこで、卒業後にオーストラリアで就職を希望する留学生は、大学やTAFE(Technical and Further Education)などで、インターンシップが必須の専攻学部を選択してください。在学中にインターンやアルバイトを通じて経験とネットワークの構築をしておきましょう。
卒業後直ぐにTSSビザには申請できませんが、新卒者暫定就労ビザ(Subclass485)を取得し、就労経験を積み上げれば「2年就労条件」を満たし、申請条件をクリアできます。
また、オーストラリアでの就職が困難な場合、新卒研修制度のある日本の会社に一度就職をして、2年以上の職歴を作ってから再挑戦するのもよいでしょう。
就労ビザから永住権までの道のりは
就労ビザは、フルタイムで制限なく働けるビザですが、2年、4年など期限があります。将来的に永住を希望するのであれば、オーストラリアでの滞在や就労が無期限で認められる永住権に切り替えましょう。
ただし、永住権と一言で言ってもいろんなビザの種類があり、申請方法もさまざま。ここからは就労ビザから永住権につながる道のりの一例を紹介します。自分に合った永住権取得の方法を見つけましょう。
会社スポンサーによる永住ビザ(Employer Nomination Scheme・SUBCLASS186)に切り替える
ENSビザは、会社スポンサーによる永住ビザです。就労ビザで働いている間に、雇い主のスポンサーをもらい、ノミネーションしてもらえば、同じポジションでその後も継続して勤務が可能になります。
中期就労ビザ(スポンサービザ457)を取得して、MLTSSリストに掲載されている職種で3年間の就労の後に雇い主からスポンサーをもらった人が申請者の条件です。
技術独立ビザ(Skilled Independent Visa・SUBCLASS189)を取得する
就労ビザでオーストラリアで2年以上の職務経験を取得した後に、永住ビザが申請です。職種リスト(Skills Occupation List)に載っている職歴であれば、65ポイント以上で申請資格ができます。
スポンサーを必要とせずに自分の実力で取得可能なので、就労ビザでの滞在期間中に、英語力とキャリアを磨き、関連要件をクリアしておくといいでしょう。
オーストラリアでは、他にも就労ビザから永住権へつながる道があります。地方雇用者後援ビザ187、政府が支援する技術移民(SUBCLASS190)、地方移住暫定ビザ(SUBCLASS491)などいろんなオプションが用意されています。条件は各州によって随時変化しているので政府サイトでチェックしてください。
オーストラリアでの就職は実務経験を積んで挑戦しよう!
今回はオーストラリアで就職する際に必要な就労ビザについてお伝えしました。就労ビザは、申請から取得まで、雇用主・職種・就労者といった3つのステップでの審査が必要となるので、時間的余裕をもって準備しましょう。
また、ビザ関係の申請条件は不定期にアップデートされるため、常にチェックが必要です。英語力や情報収集に不安がある方は、移民弁護士やコンサルタントに相談するのもおすすめです。
就労後に永住権へのPathwayが用意され、アクセスチャンスの選択肢が広いのもオーストラリア移住の魅力の1つ。ぜひ、これまでの実務経験を武器に就労チャンスを得て、大きく羽ばたいてください。
出典:Australian Government Department of Home Affairs