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自力でオーストラリア永住を目指すのに必要な条件は?ポイントってなに?

自力でオーストラリア永住を目指すのに必要な条件は?ポイントってなに?

オーストラリアに永住するためのビザにもいろいろなカテゴリーがあります。自分自身の技術や経験を活かして申請するスキルドワーカービザ、スポンサーとなる雇用主を得て申請するビザ、配偶者などパートナーをスポンサーとするビザ、投資家ビザなどです。

スキルドワーカーとして自力で永住権を申請するためには、まずポイントテストでパスマークと言われる合格点以上を取り、インビテーション(申請許可)を受けなければなりません。

どんなポイントがあるのか、どのくらい点数が必要なのか、そして点数が足りない時はどうすれば良いのか。オーストラリアの永住権獲得に必要なポイントシステムについて紹介します。

この情報は2023年3月時点の最新情報です。

目次

オーストラリアのビザ取得に必要なポイントとは

オーストラリアに移住するため、スキルドワーカーとして永住権を申請する場合は、まずポイントテストで65点のパスマークを越えなければなりません。65点以下では関心表明(EOI:Expression of Interest)申請を登録できないからです。

オーストラリアの永住権は、登録されたEOIの中から職業やスキルを考慮し、点数の高い人に永住権を申請する許可(インビテーション)が与えられるポイントシステムとなっています。

スキルドワーカーのカテゴリーには以下の3種類のビザがあります。
【S189】技術独立永住ビザ (Skilled Independent Visa)
【S190】州ノミネーション技術移住ビザ (Skilled Nominated Visa)
【S489/887】技術地域ビザ (Skilled Regional Visa)

【S189】技術独立ビザ (Skilled Independent Visa)

技術独立永住ビザは、オーストラリアへの居住が地域の制限なく無期限に許可されます。

オーストラリア政府のMLTSSL(Medium and Long-term Strategic Skills List)に掲載されている職種に従事していれば、特別なスポンサーやノミネーションの必要なしで申請できるビザです。

【S190】州ノミネーション技術移住ビザ (Skilled Nominated Visa)

オーストラリアの各州政府が、必要としている技術を持つ人をノミネートすることで申請できる永住ビザです。

移民局選定技術の査定に合格する技術と高い英語力が求められますが、州政府のスポンサーを得て、5ポイントの追加を受けることができます。ただしノミネーションを受けた州に最低2年以上は居住・就労しなければなりません。

【S489/887】技術地域ビザ (Skilled Regional Visa)

「S489」いわゆるサブクラス489は、州政府または州内に住む家族のノミネーションにより取得できる一時滞在ビザです。4年間暫定ですが、特定地域に居住し就業すると、「S887」サブクラス887(永住権)の申請ができるようになります。

ノミネーションを受けると10ポイントが加算されるため、比較的容易に永住権を手にするためのステップとして利用する人が多いビザです。

サブクラス489での滞在期間中は、その州内で生活しなければなりませんが、サブクラス887を取得するとその制限が解かれ、他州への移転も可能になります。

ポイントを伸ばすために知っておくべきこと

スキルドワーカーにはビザの種類ごとに用意された職業リストがあり、各職業にはインビテーションの上限が設定されています。つまりオーストラリアで不足している職業ほど、永住権を申請しやすいということです。

インビテーションを受けるためのパスマークはどんな職業でEOIを登録するかによって異なりますが、ポイントが高ければ高いほどインビテーションを受けやすくなります。

点数を伸ばすためにポイントの詳細を知っておきましょう。

ポイントの3大要素「年齢」「英語能力」「職歴」

オーストラリア永住に必要な3大要素は「年齢」「英語能力」「職歴」です。

【年齢によるポイント】

年齢 ポイント
18才以上24才以下  25
25才以上32才以下  30
33才以上39才以下  25
40才以上44才以下  15

スキルドワーカーとしてオーストラリアの永住権を申請できる年齢は18才以上45才未満と定められています。

【英語力によるポイント】

英語力 ポイント
Proficient English - IELTS7.0相当 10
Superior English - IELTS8.0相当 20

このスコアはスキルドワーカーだけではなく、永住権を申請する全ての人、およびオーストラリアの大学に入学するためにも必要です。

【オーストラリア国外での職歴によるポイント】

勤務経験年数 ポイント
3年〜4年 5
5年〜7年 10
8年以上 15

【オーストラリア国内での職歴によるポイント】

勤務経験年数 ポイント
1〜2年 5
3年〜4年 10
5年〜7年 15
8年以上 20

オーストラリア国外、国内ともに過去10年間で、申請している職業に関連した職歴だけを加算できます。

点数が加算される「学歴・学位」、その他のポイント

申請した職種に関する学歴・学位があるとポイントが加算されます。

【オーストラリア国内又は国外で認定された教育機関での学歴・学位によるポイント】

学歴・学位 ポイント
博士 20
学士・修士 15
オーストラリアのTAFE、大学でディプロマを取得 10
指定の職業に関する専門機関が認めた資格を取得 10

日本で取得した学士・修士・博士の学位も加算の対象になります。

オーストラリアのTAFEはオーストラリアの州立職業訓練専門学校、Technical and Further Educationの略です。ただし日本の専門学校はTAFEとみなされず、ポイントとなりません。

【その他の学位や学歴によるポイント】

加算対象 ポイント
STEM系関連分野の教育機関で2年以上研究し得た修士号または博士号 10
2年間の正規留学(CRISCO認定の学校でのディプロマ) 5
プロフェッショナルイヤーのプログラム参加(IT/エンジニア/会計士) 5
NAATIによる翻訳士・通訳士の資格 5
特定地域での2年間の就学 5

オーストラリアはSTEM教育に力をいれているため、STEM系の学科で得た修士号、博士号は5ポイントから10ポイントに引き上げられました。STEMは「Science」「Technology」「Engineering」「Math」の頭文字です。

CRICOS(Commonwealth Register of Institutions and Courses for Overseas Students)認定の学校で2年間フルタイムのコースを修了すると5ポイント加算されます。CRISCOはオーストラリア政府の認定を受けた留学生の教育機関です。

【配偶者・パートナーによるポイント】

加算対象 ポイント
パートナーが年齢・英語力・技能の条件を満たしている場合 10
パートナーが英語力の条件のみを満たしている場合 5
家族を含まない単身者の場合 10

同時申請するパートナーがいる場合、そのパートナーの能力もポイントとなります。また同時申請するパートナーがいない単身での申請はポイントが高くなりました。

ポイントが足りない場合の救済措置はある?

オーストラリアに移住するために英語力は非常に重要です。

移住を思い立った日からすぐに勉強を始めましょう。読み書きだけではなく、聞く話すといったコミュニケーション能力も大切です。勉強するだけではなく、英語を使う環境に身を置くことができると良いですね。

そのために、可能ならワーキングホリデーの制度を利用すると良いでしょう。雇用主と良好な関係を築くことで就労ビザを取得する可能性も生まれます。オーストラリアでの職歴は、日本での職歴よりも高ポイントです。

英語力に問題のない人であれば、積極的にオーストラリアの教育機関で学ぶようにしましょう。オーストラリアで修士号・博士号や専門の資格を得ることでポイントが加算されます。

オーストラリアで学ぶ、働くといった経験そのものが、ポイントを伸ばすための救済措置となります。

オーストラリア移住のためにできることから始めよう

スキルドワーカーとして、オーストラリアの永住権を得るために必要なポイントを紹介しました。

オーストラリアへの移住に興味がある人は、まず自分が得られるポイントを計算してみてください。点数が十分であれば、すぐに申請の準備に取り掛かることができます。

ポイントが足りない人は、留学ビザや就労ビザを使ってオーストラリアに滞在しながらポイントを増やす計画を立てることをおすすめします。

永住権を申請するためのパスマークは65点と言われていますが、実際には点数の高い人からインビテーションが送られるので、できるだけポイントを得られるよう、さっそくできることから始めましょう。

出典:Australian Government Department of Home Affairs Permanent resident

出典:Australian Government Department of Home Affairs Points table for Skilled Independent visa (subclass 189)

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