オーストラリアのSUBCLASS190とは?189が取得できない場合は190にチャレンジしよう!
オーストラリアは豊かな自然、温暖な気候に恵まれた国です。留学やワーキングホリデーでオーストラリアに滞在すると「帰りたくない」「ずっと住みたい」と思うようになる気持ちが、よくわかるという方も多いのではないでしょうか。
実際に、オーストラリアは移民の多い多民族国家です。政府が積極的に国外からの労働力を迎え入れる姿勢を示しているので、移住しやすい国と言ってよいでしょう。
期間を限られることなくオーストラリアで生活するためには、オーストラリアの永住権が必要です。この記事では永住権の一つであるSUBCLASS190、技術推薦ビザ(Skilled Nominated Visa)について紹介します。
この情報は2023年4月時点の最新情報です。
目次
オーストラリアのビザSUBCLASS190とは
SUBCLASS190は技術推薦ビザ(Skilled Nominated Visa)です。申請に、いずれかの州または準州のノミネーション(推薦)が必要なため、「州ビザ」とも呼ばれています。
州または準州からノミネーションを受けることで5ポイント加算されるため、SUBCLASS189(技術独立永住ビザ)の申請にポイントが足りない場合は、SUBCLASS190にチャレンジしてみましょう。
州により職種や条件は異なりますが、各州にSNOL(State Nominated Occupation List)と呼ばれる職種指定リストがあります。オーストラリア政府のMLTSSL(Medium and Long-term Strategic Skills List)の中から自州に必要な職種が選定されたリストです。
このSNOLに自分の職種があれば、SUBCLASS190の申請が可能です。ただし2年から3年といった各州が規定する期間は、ノミネートされた州で居住・就労しなければなりません。この規定に違反するとビザが取り消されるおそれがあるので、遵守しましょう。
各州の職種指定リストやノミネーションの条件は、それぞれのサイトで確認できます。
SUBCLASS190の申請条件と取得手順
SUBCLASS190は、GSM(General Skilled Migration)で審査が行われるポイント制のビザです。まず移民局に申請可否うかがいEOI(Expression of Interest)を登録し、申請許可(Invitation)を受け取らなければ申請できません。
SUBCLASS190の申請条件と申請から取得までの流れをまとめてみました。
申請条件
SUBCLASS190の申請には、以下のような条件があります。
- いずれかの州、または準州からノミネーション(推薦)を受けている
- 該当する州のSNOLに掲載された職種で、技術査定(Skill Assessment)を取得している
- 年齢が18歳以上45歳未満である
- EOIのポイントチェックで合格ラインの65点を獲得している
- 高い英語力(IELTS6.0相当以上)を有する
- SUBCLASS190に適合するSOL(Skilled Occupation list)に記載された職業に従事している
- 健康に問題がない
- 犯罪歴・起訴歴などがない
- 税金の滞納がない
- Australian values statement(オーストラリアの価値観)への署名
- オーストラリアのビザ規定に違反したことがない
全ての条件を満たしていると、SUBCLASS190の申請が可能です。オーストラリアのビザ申請は、全てオンラインで行います。
SUBCLASS190を申請するための3つのステップ
SUBCLASS190の申請には大きく3つのステップがあります。
- 移民局にEOIの登録
- 希望する州にROIの登録
- 移民局にビザの申請
1つずつステップをクリアしてSUBCLASS190を取得しましょう。以下が具体的な申請の手順です。
EOIの登録
オーストラリアの移民局サイトのSkillSelectから、EOIを登録します。このEOIは各州に公開されます。
ROIの登録
ノミネーションを希望する場合はEOIを登録した後、各州のサイトからROI(Register Of Interest)を登録してください。
※ニューサウスウェールズ州(NSW)とクイーンズランド州(QLD)は同時に他州へのROI登録を認めていません。
各州による審査
オーストラリア首都特別地域(ACT)は独自のポイントシステムを採用していますが、他州は連邦政府のポイントシステムに準じてROIの審査を行います。この審査に合格すると州政府からインビテーションが送られる仕組みです。
インビテーションの受諾
州政府からのインビテーションには有効期間があります。インビテーションを受ける際は、期限までに必要な書類を提出し、申請料が必要な場合は支払い手続きをしてください。
※インビテーションを受諾しなかった場合、再度その州からのインビテーションは受けられません。
移民局への通知
いずれかの州からノミネートされると、移民局へ通知され自動的に5ポイントが加算されます。この時点で65点のポイントマークを達成するとEOIが審査の対象となります。
※クイーンズランド州(QLD)では、ROIの登録に80点以上のポイントが必要です。
本申請
移民局からのインビテーションを受けた際は60日以内に、必要な書類を提出し申請料を支払い、ビザの本申請を行ってください。審査を通過するとパスポートに永住権のシールが貼られます。
SUBCLASS190取得でできること、できないこと
SUBCLASS190はPermanent Resident Visa(永住権)です。Citizenship(市民権)とは異なるため、できることとできないことを確認しておきましょう。
SUBCLASS190でできること
ノミネーションを受けた各州の規定に従う必要がありますが、規定された期間の居住・就労の義務を終えると他の永住権と全く同じ条件になります。
- オーストラリアに無期限で滞在できる
- オーストラリア国内で自由に就労、就学できる
- オーストラリアの国民健康保険(Medicare)へ加入できる
- 住宅ローンが利用できる
- 条件を満たす親族のスポンサーになれる
- 条件を満たして市民権を取得できる
- 国外への旅行に必要な再入国ビザ(Return resident visa)が取得できる
- 無料のAMEP(Adult Migrant English Program)で英語を学べる
- ニュージーランドで就労できる
オーストラリアに居住している限り、センターリンク(Centrelink)を通して社会保障給付を受けることも可能です。
SUBCLASS190でできないこと
永住権は市民権と異なるため、オーストラリア人と同等の権利ではなく、いくつかの制限があります。
- オーストラリアのパスポートは持てない
- 選挙権(参政権)はない
- 学生ローンは利用できない
- 国防軍に入隊できない
- 侵攻中の国家の仕事に就けない
- 再入国ビザがなければオーストラリアに入国できない
また国外で事件に巻き込まれたような際、オーストラリアの大使館・領事館に助けを求めることはできません。
まず各州の職種指定リストを確認してみましょう!
SUBCLASS189で永住権を申請するにはわずかにポイントが足りないという場合、州のノミネーションで5ポイント獲得できるSUBCLASS190は、非常に有効な手段です。
ノミネーションを受けた州に2年から3年は居住・就労する義務があるものの、その期間を過ぎればSUBCLASS189と全く変わらない永住の権利を得ることができます。
州ごとに職種指定リストやノミネーションの条件が異なるので、まず自分が条件に適っているかどうか確認してみましょう。それぞれの州や準州が強く求めている職種であれば、有利に審査が進められます。
州内での居住歴、就学や就労の実績が高く評価されノミネーションを受けやすくなる州もあるので、あらかじめ自分の職種に合わせターゲットとする州を決めておくのもよいでしょう。
ただし職業指定リストや条件は変更されることがあるので、ターゲットとする州があれば、定期的な情報の確認をおすすめします。
関連リンク・オーストラリア首都特別地域(ACT)
・ニューサウスウェールズ州(NSW)
・ノーザンテリトリー(NT)
・クイーンズランド州(QLD)
・南オーストラリア州(SA)
・タスマニア州(TAS)
・ビクトリア州(VIC)
・西オーストラリア州(WA)
・The Australian Department of Home Affairs