オーストラリア移住のリアルな不安・後悔ポイントとは?
オーストラリアで新しい海外生活をスタート!せっかくなら後悔しない移住を実現したいですよね。そこで移住前に、キラキラ海外生活だけじゃないシビアな現実もしっかり見ておきましょう。今回は、オーストラリアと日本との違いや後悔ポイントなどについてリアルな声を紹介します。
この情報は2023年5月時点の最新情報です。
目次
オーストラリアに移住して感じる住みにくさは?
オーストラリアに住み始めると日本と比べて「こんなはずじゃなかった!」と残念に思うこともあるでしょう。この章では、移住して感じるオーストラリアの住みづらさや不便な点について説明します。
オーストラリアは水不足で不便
乾燥したオーストラリアは、慢性的な水不足に悩まされています。特に雨が少なく干ばつが予想される夏場は、自然着火によるBushfires(山火事)が頻繁に発生し、水不足が深刻になります。ダムの水位が半分を切ると断水や給水制限処置が取られます。
水道料金は、地域や住民構成によっても大きく違うため比較は難しいのですが、総務省が2018年に行った家計調査によると、日本の全国平均は、月におよそ4,131円。対して、オーストラリアの上下水道あわせた水道料金は、水道の運営団体によって異なりますが、およそ日本の2倍と言われています。
このような事情から、オーストラリア人の水に対する考え方は、日本人とは根本的に違います。洗車を頻繁にしない、お風呂はシャワーで済ませる、食器を洗うとき洗剤を洗い流さない、など普段から節水意識が高い方が多いのもそのせいかもしれません。
また、オーストラリアの水道水は、日本と同様に軟水の地域が多く、普通に飲めます。「タップウォーター」と呼ばれ、カフェやレストランでも無料で提供されますが、不安な人は蒸留水やミネラル水を買って飲むといいでしょう。
オーストラリアの日差しが強い
オゾンホールの真下に位置するオーストラリア。夏のビーチなどでは、暑さと熱が強烈なので、熱中症と日焼けには注意が必要です。
また、年間を通じて有害な紫外線の量が日本の5~7倍近くも多く、皮膚がんの発症率が世界で最も高い国のひとつという報告もあります。外出時にはUVケアをしてサングラスと帽子で身を守ってください。
住んでみてわかった!オーストラリアあるある
オーストラリアのデメリットや住みづらさは他にもいろいろあります。オーストラリアに住んでいる人に現地でのデメリットを聞いてみました。
・虫が大きくて怖い
オーストラリアには危険で有毒な虫や動植物が多いので、キャンプやハイキング、水泳時などでは十分気をつける必要があります。
・アパートやシェアハウスが見つけにくい
住宅事情の悪さもオーストラリアの悩ましい所です。やっと見つけたと思っても、実物は古くボロボロでガッカリすることがあるでしょう。実際の物件を見るまでは安心できません。
・日本食品が高い
日本製の食材がとても高いことに驚きます。カップ麺を例にあげると、中国製などは2~3ドルで買えますが、日本製は6ドル位します。
・運転マナーが悪い
オーストラリアでは運転技術が荒いドライバーが多く、交通事故が多いので、運転にはくれぐれも気をつけましょう。
オーストラリアに移住して感じる不安は?
オーストラリアに移住してから直面する最も切実な不安は、お金に関する問題でしょう。この章では、オーストラリアの物価や最低賃金など経済的な問題を日本と比較しながら解説します。
オーストラリアの物価が高い
世界経済フォーラムまとめによると、現在、全国最低賃金が最も高いのは、ルクセンブルク、オーストラリア、ニュージーランド、英国、ドイツの順でした。円換算して、日本の最低賃金と比較すると下図になります。
日本 | イギリス | ドイツ | オーストラリア |
961円 | 1,610円 | 1,759円 | 2,009円 |
上図より、最低賃金だけを見ると、日本が961円なのに対し、オーストラリアは2,009円と、2倍以上も高いことがわかります。
ただし、いくら最低賃金の時給が高くても、物価も高いオーストラリアでは、生活費もそれなりに高額になる傾向があります。賃金が多くもらえればリッチな生活が出来るかといえば、現実は思っていたより厳しいかもしれません。
オーストラリアの人口は2,500万人ほどですが、そのほとんどが都市部に集中しています。日本の21倍近くの広大な国土面積ながら、地方にはあまり人が住んでいません。都市部では物価高と住宅難、地方では人手不足と人件費の高騰、そこに物流の効率の悪さが加わり負のスパイラルを形成しているのです。
社会保障のあり方が日本と違う
オーストラリアの医療制度と年金制度について、日本との相違点を簡単に説明します。
オーストラリアの医療制度では、緊急医療以外で医者に診てもらう場合、まずGPと呼ばれる総合医に診断してもらわなければなりません。その上で処方箋をもらい薬局で薬を購入します。レントゲンや血液検査などはGPがその必要性を認めたときのみ、検査機関に依頼されるシステムになっています。
永住権を持つ人は「メディケア」と呼ばれる国民保険に加入できますが、公立病院の入院医療費の多くをカバーしてくれるものの、歯科や眼科など専門医療費は保険適用外となっています。デメリットとして、日本の医療制度と比べ費用も時間もかかる点に注意しましょう。
次に、年金制度について簡単に説明します。日本の年金は国外に出ているときは加算されませんが、オーストラリアの年金は、外国人でも永住権を持って10年間以上住んで在住証明を取れば下りるシステムです。単身で18万円、夫婦で27万円ほどの年金を受け取れます。
まさか!差別を受けたときの対処法
オーストラリアでは、1972年まで白豪主義と呼ばれる黄色人種に対する迫害や排除の政策が続いていました。現在では完全撤廃され、公共の面前で人種を侮辱されることは法律で禁じられています。
このような違法行為を受けた場合、差別した当人と話し合って解決できないときは、オーストラリア人権委員会(AHRC)に苦情を申し立てることができます。命に危険を感じたときは、000をコールして「ポリス!」と叫んで助けを呼んでください。
オーストラリアは永住権も高い?金額は
オーストラリアは、30歳以下の若い層は1年のワーキングホリデービザで自由に滞在が楽しめますが、長期滞在しようとするとハードルが一気に上がります。この章では、オーストラリア移住に欠かせない永住権にかかる金額を説明します。
永住権にかかる費用
オーストラリアの移民局サイトによると、永住権ビザ(Subclass 189/190/491 Visa)の申請に、申請者本人はAUD4,240(約380,061円)かかります。
加えて、家族がいる人は18歳以上一人当たりAUD 2,120(約189,919円)の申請料が追加されます。
カナダの移民・市民権申請のサイトによると、カナダへのビジネス移民の永住権申請費は1,365カナダドル(約134,778円)なので、オーストラリアの永住権は比較的高額なのがわかります。
永住権以外では労働条件の規定が厳しい
たとえば「学生ビザ」で滞在する場合は、スクールホリデー期間であっても「2週間に40時間」しか働けません。自由に働けるはずの「ワーホリ」で滞在していても、実際には「同一雇用主のもとでは最長6か月まで」しか働けない決まりに縛られます。
そうなると、留学またはワーホリ期間を持ち堪えるだけの貯金または親の援助が必要になってきます。平均年収およそ450万円の円安の日本から移住して、国民の平均年収が750万円ほどのオーストラリアに滞在するのは困難に感じる人もいるでしょう。
ただし、考えようによっては、オーストラリアは給料も労働条件も良く、有給休暇や病欠の申請も楽。リラックスした職場環境は、効率性重視の日本社会で窮屈な思いをしてきた人には心地よく感じられることでしょう。さらに円安が追い風となり、円換算で多くの収入を得て帰国できたという人もいます。
大らかなダイバーシティで自分の目標や夢を実現させよう!
デメリットはどこの国にもあるものですが、オーストラリアにはそれを上回る多くのメリットがあります。気候は温暖で、日本との時差も少なく、そこに住む人々もまた開放的で楽観的。全てに完璧を求めない、大らかな国民性もそのひとつです。
多種多様の文化が尊重される移民国家、オーストラリア。自分から笑顔で飛び込んでいけば、きっと明るく迎え入れてくれはず。ただし「なんとなく楽しそうだから」「暖かいから」ではなく、移住前に自分なりの明確な目標を立てておきましょう。デメリットも知った上で、オーストラリア移住を成功させてくださいね。
出典:世界経済フォーラム
https://jp.weforum.org/
Australian Human Rights Commission
https://humanrights.gov.au/complaints
Australian Government The Department of Home Affairs
https://immi.homeaffairs.gov.au/