シンガポール移住で体験した国際恋愛のはなし

インド人と瞑想をして恋が芽生えた
私は、とあるスポーツを死ぬほど愛して止まない愛好家だったので、シンガポールでも盛んに行われていたそのスポーツを通じて、シンガポール人やその他の外国人、日本人の方々と様々な繋がりができました。
そこで知り合ったインド人のKumar(仮名)、イギリスの大学でITを学び、アメリカで数年働いたのち、シンガポールに来たようです。
Kumar(以下、クマと呼びます)とは自然と話が合い、体育館で会った日はよく喋るようになっていきました。
部活帰りの中学生のように帰りにマックに寄ったり、体育館裏でビールを飲みながら色んなことを語り合ったり、そんな日が続いていました。
当時の私は、幼馴染が急逝したり、独女の悩み、仕事の悩み、色々なことを抱えて頭の中がごっちゃになっていて、ある日それとなくクマに話をしてみたのです。
「なんか色んな事があって頭の中がごちゃ混ぜで、自分でも心の状態がよく分からないんだよね~、ハハハ、分からないのに話すのもおかしいんだけどさぁ。」
クマはインドカレーを食べながら、
「あ、それはね、瞑想すればいいよ。ほら、僕が毎朝やってるでしょ。」
め、瞑想…。ほ~、なるほど。
この人は日常的に瞑想してるから普段こんなにも穏やかで、仏陀のような広い心を持っているんだろうか。
そもそも、悩みを打ち明けて「瞑想」という解決策を打ち出してくれる人は、この世にどの位いるだろうか?何だかクマの顔がブッダに見えてきた…。
と、カレーを手で食べている彼を、拝みたい気持ちになったのです。
(その後、半信半疑で一緒にやってみた瞑想には驚くほどの効果があり、タイの瞑想寺に修行にいく程までになりました。)
「瞑想」というワードで私のスイッチが押され、会う回数が増えていったものの、「いつか結婚してインドに住むことになったら、毎日インドカレーは無理」という妄想マリッジブルーが始まりました。
そんな勝手なせめぎ合いをしながら数か月が経ったある日、インドに里帰りして戻ってきた彼が、私を呼び出して言いました。
「親の紹介で、結婚することになったよ。」
そうなのです。
インドでは親が結婚相手を決めるというアレンジ婚の文化が、根強く残っているのです。
ここに、元祖ゼロ日婚が存在していました。
クマは両親に紹介された女性と10分くらい会話をして、さくっと結婚を決めたそうです。
10分って、バイトの面接並みじゃないですか…、せめて就職試験くらいは時間かけようよ…。
と、心の中で突っ込みながら、「良かったね!おめでとう!」と言った笑顔が死ぬほどひきつっていたのは、言うまでもありません。
もしあなたがインド人に恋をしたら、その人の両親のアレンジ婚のプレッシャーはどの位なのかを確認しておきましょう。